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STORES の未来を作る二大プロジェクト。PdM二人が語る、その舞台裏と乗り越えた壁

──本日はPdMのお二人にお話を伺います。まずは、お二人がPdMとして担当している領域を簡単に教えてください。

西:プロダクト部門プロダクトマネジメント本部のシニアマネジャーをしています。スポーツジムやヘアサロンなどのサービスを提供する業種向けのプロダクトである STORES 予約と、 STORES レジのプロダクトマネジメントを行なっています。最近では、「予約システムと、ひとつになったPOSレジ」のリリースを行いました。

宮:プロダクト部門Ops室のマネジャーをしています。私は西岡さんと同じく STORES 予約 のプロダクトマネジメントも行いながら、それぞれのプロダクトを横断で開発していくための組織的な仕組みづくりを行なっています。また、STORES の各プロダクトを横断した基盤開発の推進も行なっています。

──ありがとうございます。ここからは、お二人のそれぞれのプロジェクトについてお話を伺っていきます。

PROFILE
西岡 大揮さん・・・プロダクト部門/プロダクトマネジメント本部
2012年楽天に入社、楽天市場のトップページリニューアル PJ などを担当。
2015年トクバイ株式会社(現ロコガイド)に転職し、小売向けマネタイズのプロダクトマネジャーを担当。その後、2018年 hey (現:STORES)に転職。
STORES.jp 1人目のプロダクトマネジャーとしてプロダクト開発に関わった後、現在はプロダクトマネジメント本部のシニアプロダクトマネジャーとしてPdM組織づくりと、STORES レジ、STORES 予約のプロダクト開発を担当している。
https://x.com/nishiokadaiki1

宮里 裕樹さん・・・プロダクト部門/Ops室
ソフトバンク、ネオスでモバイル領域での開発マネジメントやソリューション企画を経験後、2015年よりリクルートコミュニケーションズでデジタルマーケティング領域のプロダクト開発及びPM組織のマネジメントに従事。2019年マチマチの1人目PMを経て2021年にSTORES 予約 のPdMとして入社。
現在はプロダクト部門Ops室のマネジャー 兼 プロダクトマネジャーとしてSTORES 予約 や 横断プロジェクトを担当している。
​​https://x.com/miyahirok

「予約システムと、ひとつになったPOSレジ」プロジェクト

──先ほどお話してくださったように、西岡さんは最近リリースされた「予約システムと、ひとつになったPOSレジ」のPdMを務められました。具体的にどのようなプロダクトなのでしょうか。

西:STORES が元々持っていた STORES レジ と STORES 予約 を連携したプロダクトです。ヘアサロンの予約を STORES 予約 で取り、その情報を STORES レジ 上で確認したり、店舗で予約の現地決済をしたりすることができます。
昨年、STORES 予約 を使っていただく事業者層を広げるため、色々なリサーチを行いました。その中でヘアサロンやフィットネスジムの事業者さんの課題をヒアリングしたところ、この連携が事業者さんにとって価値のあることであることがわかり、このプロジェクトが始まりました。ネットショップ作成、キャッシュレス決済なども含め、売上や顧客情報を連携しながら、お店の幅広い業務をSTORES でまるっと提供できることがユニークな価値になっています。

──実際のヒアリングから得られた声から生まれたプロダクトなのですね。

西:はい、事業者さんに現場のオペレーションや現在の困りごとなどを細かくヒアリングしました。そこで得られた声が、プロダクト開発に直接活かされています。例えば、事業者さんの多くは、レジ、決済、予約で別々のサービスを利用しています。そのため、顧客情報が連携できていないことで正しい顧客情報を把握できなかったり、手動で入力するためにオペレーションミスが増えるなどの課題がありました。それらは、プロダクトを連携することで解決できました。

宮:STORES 予約 は身近なサービスの事業者さん向けのプロダクトなので、普段通っているフィットネスジムやヘアサロンでもヒアリングができます。私も通っているヘアサロンでカットしていただきながら1日の業務の流れや集客の課題などについて細かくお話を伺いました。実際に話を聞いてみると、私たちが考えきれていなかったことや求められることがわかってきました。

──例えば、どのような課題があったのでしょうか。

宮:私が通っているヘアサロンは多店舗展開をされているのですが、顧客情報を店舗間で共有できることはもちろん、店舗間でのスタッフの異動や、スタッフごとの権限管理を柔軟に対応できる必要があることがわかりました。これらの要望は、これからのプロダクト開発に活かしていくつもりです。

──検討からリリースまで、およそ1年半に及ぶプロジェクトだったと伺っています。中でもどのようなことが大変でしたか。

西:開発業務の難しさ以上に、たくさんのメンバー間での連携や意思決定プロセスが最も難しかったと感じます。特に30名以上のメンバーで意思決定を行い、細かい仕様などに落とし込んでいく合意形成に心を砕きました。これまで全く別のプロダクトを担当してきたメンバーをリモートワーク下でまとめるのは、私にとって初めての経験でした。また、CTOやCPO、事業責任者など多様なステークホルダーを適切に巻き込みつつ、プロジェクトを進めることは難しい時もありましたね。

──この壁はどのように乗り越えたのでしょう。

西:開発チームでのコミュニケーションについては、隔週でオフラインで集まる機会を設けていました。朝の11時から夕方の4時までメンバー全員で集まり、そこでプロジェクトの進捗を話したり、チームごとで集まってディスカッションを行いました。東京以外を拠点にしているメンバーにも集まってもらい、全員が顔を合わせることを大切にしていました。

──これにより、どのような効果がありましたか。

西:オフラインで集まって情報共有することで、情報の流通がスムーズになり、抽象的な概念を共有したり、中長期の難易度の高い意思決定ができるようになりました。なにより、はじめはSlack上でしか知らない相手同士が、一緒にお昼ご飯に行ったり、プロジェクトの進捗を自然と話すようになり、チームの一体感が少しずつ増していきました。
これにより、オフラインで会う時だけでなく、オンライン上でのやりとりが少しずつスムーズになりました。それまで気を使ってSlackで話しかけづらいといった状況が減り、プロジェクトが加速していくきっかけになったと思います。

宮:同じPdMとして、多くの開発メンバーにプロダクトの思想を伝えたり、全員で集まって議論したりする姿を見ながら、大変そうだなと思っていました。30人もの人が関わっていると、方針の浸透度や把握している情報が人によって違うので、議論のレベルを合わせるのが難しいですよね。けれど、そのレベルに合わせて参加する人を絞ると合意形成が難しくなる。それをオフラインでみんなで決めることで乗り越えた好例だと思います。西岡さんの細かで丁寧な情報共有が実を結びましたね。

西:宮里さんには、1on1で話を聞いていただき、非常に助かりました。こうしてオフラインで集まることでコミュニケーションの課題を解決できましたが、その次はオフラインで意思決定した時のログが残りづらいという新たな課題に直面しました。ドキュメンテーションツールなどを駆使して、オフラインとオンラインの良いところを併せ持つプロジェクトマネジメントを心がけていました。

──実際にリリースを迎えて、いかがですか。

西:実は、このプロジェクトにはかなりプレッシャーを感じていました。多くの開発メンバーと時間をかけたので、これで事業者さんに使ってもらえなかったらどうしようと思っていました。しかし、リリースしてみると早速使いたいと言ってくださる事業者さんが次々に現れ、心底ほっとしました。

全ての顧客情報を統合。これからの STORES をつくる情報統合プロジェクト

──宮里さんのプロジェクトは、現在検討や議論を進めている段階だとか。どのようなプロジェクトを行っているのでしょうか。

宮:売り上げが一定規模以上となった事業者さん(以降、ミドル事業者)が持つ「継続率や再来店の頻度を高めたい」というニーズに対し、さらに顧客データを活用しやすくするために STORES のプロダクト間の顧客データ連携の検討・開発を進めています。STORES は、これまでもどうしたら事業者さんに価値提供できるか、その売り上げを伸ばせるかを考え、議論を続けてきました。
売り上げ規模がまだ大きくない、開業直後やシステム導入をされていない事業者さんは、業務を効率化するために STORES  のプロダクトを使い始めていただくことが多いです。一方、規模が拡大するにつれそのニーズは変化し、ミドル事業者になると顧客とのエンゲージメントが課題として大きくなってくることがわかったのです。そこで、 STORES が持つオンライン・オフラインの顧客データをより統合的に分析・活用いただける状態にするため、 それぞれのプロダクトの顧客情報を連携するプロジェクトが立ち上がりました。それが、私が現在進めているプロジェクトです。

西:宮里さんが担当するミドル事業者は、休眠顧客の来店や顧客とのエンゲージメントが売り上げに与える影響が大きいのです。例えば、小さな店舗は顧客の数が少ないのでなんとなく顔と情報を覚えていられますが、中規模になるとそれが難しくなってくる。僕がこれまでヒアリングをしてきた経験からも、小規模事業者の方には全く刺さらなかった顧客情報の活用や統合が、ミドル事業者の方に求められているのには納得がいきます。

── この統合は、これまで行われてきたプロダクトの連携と何が違うのでしょうか。

宮:今までも STORES の一部のプロダクト同士の連携は行ってきました。しかし、すべての STORES のプロダクトの顧客データを統合することで、オンライン・オフライン全ての顧客情報を元にした分析や1人1人に合ったマーケティングやコミュニケーションが可能になるのはもちろん、その基盤ができることで今後の機能開発の速度向上や他社サービスとの連携の迅速化など、事業者さんのお商売を加速させる大きな要素になるはずです。

──このプロジェクトの最も難しい点はどのようなことでしょうか。

宮:STORES のプロダクトは、遡れば別々の会社が作ってきたものなので、その歴史や開発背景も異なります。それらのデータをどう統合し、いかに活用していただくかまでを想像して設計するのが最も難しい部分です。

西:顧客情報は、扱うのにリスクが伴い、システムとして開発することはとても難易度が高いと思っています。それにみんなが向かって行けるよう、顧客情報が統合されると事業者さんにどんな嬉しいことがあるかを言語化し、絶えずアウトプットしている様子には感服します。宮里さんが常に未来を伝えているおかげで、みんなが向かう方向をイメージできるのだと思います。

宮:こういった裏側の基盤は、それが事業者さんにとってどんな価値を持つのかがイメージしづらいのも難しい点ですね。なので、どんな世界を実現するためにこのプロジェクトに取り組んでいるのかを、プロジェクトメンバーはもちろん、社内全体に周知するように心がけています。社内wikiに情報をまとめるのはもちろん、参加人数の多い社内イベントで発信することもあります。そうすると、それに関する情報が自然と集まってきたり、フィードバックを得られたりして、プロジェクトの推進力になるのです。

自分の仕事が事業者さんのお商売を支える。その実感を得られるのがやりがい

──お話を伺って、おふたりがPdMとして手がけるプロジェクトとそれにより作られる未来が見えてきました。最後に、 STORES の仕事について一言お願いします。

西:自分の作ったプロダクトが、お店や誰かの毎日を支えている実感を持てるのが STORES で働く醍醐味です。だから、好きなお店で STORES が使われていれば嬉しいし、使われていなかったらその理由を訊きたくなってしまうほど。「自分が好きなお店に使ってもらいたい」という健全なモチベーションで仕事ができることに喜びを感じています。いつか、日本でお店を始める時にSTORESでアカウントを作成することが当たり前になる未来を妄想しています。 何かのお店を始めることが 「ストアーズする」というように、STORESの“動詞化”を目指したいです。

宮:いいですね、動詞化。事業者さんに当たり前に使われる存在になるために、私たちはこれからも事業に不可欠なものをどんどん提供していくつもりです。プロダクトひとつひとつを磨き、そこで生まれたデータが統合的に分析・活用されることにより、事業者さんや事業者さんの顧客の方々へさらに良い体験を提供していきたいと思います。
STORES でPdMをする醍醐味は、手を挙げればどんどん任せてもらえること。新しいプロダクトがどんどん生まれる今はプロダクトの責任者になることもできますし、プロダクトを横断した貴重な役割もたくさん用意されている。そういった挑戦を楽しめる方と、これからの STORES を作っていきたいと思います。

デザイン:荒木 脩人
写真・文:出川 光

西岡さんのお気に入り:PADDLERS COFFEE ONLINE STORE
コーヒー豆やアパレルの販売で STORES ネットショップをご利用いただいています。代々木上原にある店舗も素敵なのですが、年末に販売されるオリジナルの日めくりカレンダーを毎年購入しています。ちなみにPADDLERS COFFEEで働いている方のご家族が BLANCO という美味しいアイスクリーム屋さんを熊本で経営されており、そのお店でも STORES ネットショップをご利用いただいています。この2店舗のつながりは、たまたま何かの記事を読んで知ったのですが、自分たちのプロダクトが良質なコミュニティーの中で確実に広がっていることを実感できた良い思い出になっています。

宮里さんのお気に入り:REAL WORKOUT
最初はパーソナルトレーニングのサービス・業界理解のために通い始めましたが、自身が競技をしていることもありパフォーマンス向上のために2年近く継続して通っています。パーソナルトレーニングとしてはリーズナブル、駅近で手ぶらでいける点もありますが、トレーナーさんの的確な目標設定や指導により効果を実感できています。

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