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単なるツールを超えて、これからのオーナーさんの商いをささえる。

5周年を迎えた STORES 株式会社。 STORES の経営陣はこれまでの5年間をどう振り返り、今どんな未来を描いているのでしょうか。第一弾のインタビューは佐藤裕介と佐俣奈緒子による対談。創業期と現在を比べてみると、事業や組織はどんな変化を遂げたのでしょうか。また、これからの商いの未来の姿と STORES とは。

PROFILE
佐藤裕介・・・代表取締役 CEO
STORES 株式会社 代表取締役社長。2011年、株式会社フリークアウト(現:株式会社フリークアウト・ホールディングス)に創業メンバーとして参画。同社代表取締役社長を経て、2018年にヘイ株式会社(2022年10月「STORES 株式会社」に社名変更)を創業。

佐俣奈緒子・・・取締役 VP of People Experience
2012年にコイニー株式会社を創業し、代表取締役社長に就任。事業者向けのキャッシュレス決済サービスを提供。2018年にコイニーとストアーズ・ドット・ジェーピー社を経営統合し、ヘイ株式会社(現:STORES 株式会社)を創業。人事組織を中心としたPeople Experienceを担当。
※記事内で佐藤裕介の発言を「佐」、佐俣奈緒子の発言を「奈」と表記。

「オーナーさんの商いをささえる」がクリアになった5年間

──STORES が5周年を迎えましたね。これまでの5年間を振り返ってみたいのですが、お二人は創業期のことを覚えていますか?

奈:覚えてること、ある?

佐:創業期のことは少ししか覚えていないなあ。ホテルの部屋に缶詰めで事業のことを考えていて、そこから夜中なのに佐俣さんに電話をかけたこととか、社内のデザイナーにせっかく提案してもらった会社のロゴを「全部違うかも」って言って作り直してもらったこととか、お台場のショッピングモールに二人で行って話をしたこととか。

奈:お台場に行ったこと、よく覚えてる。あれは現在の STORES 決済 の前身のCoineyと、STORES (ネットショップ)の前身の STORES.jp の統合について話した時だった。そういう節目のことは私も覚えているな。Coubic(現 STORES 予約)が仲間入りする時に取材を受けて、みんなで会社のロゴが入ったTシャツを着て写真を撮ったことなんかも。

佐:ブランド統合をしてサービス名を STORES に揃えたのは、佐俣さんにとっては創業した会社やサービス名を失くすという大きな出来事だったと思う。僕も経営者としてその気持ちがよくわかるから、ブランド統合の案をずっと言い出しづらくて。ブランド統合のかなり前からそういう案は出ていたんだけど、寝かせていたのを覚えてる。

奈:STORES(当時のhey)は新しく作った会社だから、ブランド統合までの間、何かをずっと作り続けてきた。ブランド統合は、初めて何かを手放す体験だったかも。

──ブランド統合をする時、奈緒子さんが社内向けに書いたドキュメントが印象的でした。「Coiney」という名前に込められていた想いが伝わって、泣いていたメンバーもいましたね。

奈:会社としてはブランド統合はするべきだったから意思決定はすぐにしたけれど、気持ちの整理が必要だったんだよね。

佐:組織にも大きな影響があったよね。統合するまでは、「敬意と疑念」を合言葉にCoiney、STORES.jp、それぞれの文化や強みを尊重するのを大切にしていた。けれど、少しずつ会社がやるべきことや目的がクリアになってきて。その優先順位一番にあるオーナーさんの商いの成功のために自分たちが進化すると決めた、象徴的なのがブランド統合だった。

その後サービスに合わせて社名を「hey」から「STORES」に変更したのも僕にとっては大きな出来事だった。それまでは、なんとなく他の会社と同じ様にサービス名と社名を一致させるのは嫌だと思っていたけど、オーナーさんにとってわかりやすいように変えようと思えた。創業時には曖昧だった目的が「オーナーさんの商いをささえる」だと明確になってきて、それに合わせて行動も変わってきたんだと思う。

奈:もちろんポジティブなことではないけれど、コロナ禍も私たちの役割や目的をさらに明確にしたよね。

佐:そうだね。そういう社会的な出来事が補助線になって、僕らの役割を明確にしてきたと思う。事業の数も次々に増えて、その度に向いている方向がクリアになっていった。

組織の変わったものと、変わらないもの

──組織の雰囲気や働き方も変化しましたね。総流通額は5倍、人数はおよそ40から400名まで増加して、10倍の組織サイズになりました。

奈:組織については、変わってないところと、変わったところがあると感じる。変わっていないのは、人との接し方。温かかったものが厳しいだけになったり、人間関係がドライになったりということはない。けれど、仕事をする上での習慣や働き方は大きく変わったんじゃないかな。統合以前はドキュメントを書く文化も、数字を見る文化もなくて、なかなかのカオスだった。

佐:数字を取っていなかったのではなく、ちいさなチーム、事業サイズだったからすべて見えていた。視界の範囲で意思決定してもズレなかった。でもそれだと大きくなれないから、みんなちゃんとドキュメントを書くようになったし、ミーティングでの振る舞いも変わっていった。

奈:それに、新しいメンバーがいつも変化をもたらしてくれたなと思う。例えば人事制度を作るプロのメンバーが入ってくれて、人事制度が作られて順調に運用されて「プロってすごいな」って思った。2年前に引いたマイルストーン通りに進捗していっている。

佐:それまでの、スタートアップらしい全員なんでも屋さん状態から、それぞれの専門性を生かして働くようになったよね。思えばこの5年間は、自分たちが何のために働くのかの目的がクリアになっていく旅だったな。今ははっきり目的を持って組織が動いている。

オーナーさんがわくわくしながら挑戦する姿が教えてくれること

──この5年間で、STORES によって商いのあり方を大きく変えたオーナーさんにたくさん出会いましたね。印象に残っている「商い」はありますか?

佐:人気の焼き鳥屋さんの大将が、「ネットショップをやるならネットのお客さんに喜んでもらえる、通販に向いた商品をつくりたいんだ」と言って大人気のネットショップになっていったのが印象に残ってる。大将にとってネットショップの開設は大きな変化。その変化が張り合いになって、大将自身が盛り上がっているのが伝わってくるんだよね。

奈:色々なチャレンジをわくわくしながらやっているし、あたらしい商いに挑戦しているオーナーさんだよね。

佐:そうなんだよね。変化って、起こす前は怖いけれど、起こしてみるとアドレナリンが出てくるんだと思う。運命を変えるレバーを自分が握っているという感覚の凄さを教えてくれた。

奈:私たちが提供しているのは、その変化を生むためのツールなんだよね。挑戦するための、新しいツール。

──そういうオーナーさんの商いから学ぶことは多そうですね。

佐:そうそう。やっぱりサービスを使ってくれているオーナーさんが、僕らよりも僕らがやるべきことを知っているんだと思う。ネットが商いの出発点だったオーナーさんが、リアル店舗を立ち上げることになって、どんなお店をつくるのかたのしみにしていたことがあって。

すると、原宿のど真ん中なのに、ふらっとやってくるお客さんは入店できないという。ネットでも買える商品をわざわざお店に買いに来るってことは、じっくりフィッティングしたり、スタッフとのコーディーネートの相談だったりしたいはずだから、完全予約制にしてきちんと試着したり接客できるようにしたと。連日予約は満席。
こんな感じで、未来の商いのひとつの型をすでに知っているオーナーさんがいるのが面白い。

奈:自分たちではできないし、リアリティもないもんね。オーナーさんのほうがこれからの商いを知っているんだと思う。未来に生きているというか。

現在のオーナーさんの「商い」と解くべき課題

──現在のオーナーさんとその商いを、お二人はどう捉えていますか?コロナが与える影響やインフレーションなど、数年前とは社会状況も変化しました。

佐:社会的な背景を考えれば、今商いをやるのが本当に厳しい状態なのがわかるよね。この間、コーヒー屋さんを創業しようとしている人と話したんだけど、人件費の高騰がこのまま続けば商売が成り立たないし、成り立ってるところなんてないんじゃないかと言っていた。人件費率の高い、たとえば商店街にある中華屋さんのようなローカルビジネスは、かなり厳しい状況にある。

奈:商いを継続することがどんどん難しくなっていくよね。今のバランスだからぎりぎり成り立っているけど、光熱費や、材料費や、人件費などのどれかの数字が上がったらもう成り立たないという方も多いんだと思う。私たちはそういうことをもっと知るべきだなといつも思う。

佐:そうだよね。それが淘汰だという考え方もあるかもしれないけれど、商店街の飲食店が全部大規模チェーンになってしまったら街の風景が変わってしまう。さまざまな商いが続く状態を作るというあらたな課題が出てきたんじゃないかな。STORES は創業期からそういうオーナーさん向けにツールを提供していて、使ってもらえるプロダクトのラインナップを続々と増やしてきた。これからは、今オーナーさんが直面しているあらたな課題を、プロダクトの統合と、これから生まれる新たなプロダクトで解きにいくんだと思う。

奈:それは、これまで個別のツールだった STORES のプロダクトを一緒に使ってもらうことでもっと顧客とつながることかもしれないし、オーナーさんの商いの経営から支援することかもしれない。単なる便利なツールを超えてオーナーさんの商いをささえることが、これからやるべきことなんだと思う。

もう一度会社を作るような変化が次の5年で待っている

──これからの STORES の組織は、どんな風になっていくのでしょうか。

奈:これまでの5年は、カオスをひたすら整えてきた5年間だったよね。これからの5年を考えると、それをもう一度壊す必要が見えてきた。組織は事業のためにあるもの。その事業が変化しているので、ずっと変化し続けていくと思う。

特に今は、これまで個別だったプロダクトが統合され、あらたな事業の局面を迎えようとしているフェーズ。それに合わせて組織ががらっと変わる時期も近いはず。それに伴ってたくさんの課題が出てくるし、それに挑戦してくれる仲間を探す必要もある。

佐:今年、バラバラだった STORES のプロダクトが統合されれば、おのずと全てのプロセスが変わる。ソフトウェアの作り方なんかもね。プロセスが変われば、組織も変わるんだよね。これまであったものを組み合わせて全くあたらしいものを作るんだと思うと、あらためて壮大なことをやろうとしているんだっていう実感が湧いてきた。

奈:今あるアセットを組み替えてもう一回会社を作るような感じ。届けるプロダクトがひとつから複数になったのがこれまでの5年間だった。それらのプロダクトを統合して、またあたらしいひとつのプロダクトを届けていくのが次の5年間。日本でそれができている会社はあまりないから、この挑戦はきっとたのしいと思うな。

写真:天野莉絵
取材:加藤千穂・山口佳世
デザイン:呉 琳心
イラスト:石橋 講平
文:出川 光

佐藤さんのお気に入り:BLANCO ICECREAM
熊本のアイスクリーム屋さん。家族みんな大好きで、リピートし続けています。熊本出身のオーナーさんチームが、地元でとれる食材と、東京で培った経験とネットワークをかけあわせ、最高のプロダクト (味はもちろん、パッケージやブランドそのものも) をつくっています。つくり手のこれまでの人生が詰まったブランドこそがオリジナルであり、商いが人生のよろこびと同化しているのを見て刺激を受けています。

佐俣さんのお気に入り:はるまき家
金沢にある春巻きの専門店。いろんな味の春巻きがありますが、どれもパリッパリでサックサクでめちゃくちゃ美味しいです。キッチンカーからスタートして、お店を出され、「お母さんの味」を全国に展開すべくご家族で経営されているというその素敵な商いの形が、商品だけでなくすべての面で温かみに溢れていて最高です。

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